こんにちは、行政書士の田中です!
本日は、個人事業主の方々の退職金とも呼ばれている、小規模企業共済について投稿いたします。
概要につきましては、中小機構のホームページにも記載がございますのでこちらをご覧になってみてください。
加入するメリット、デメリットや、内容についてもわかりやすく解説いたします。
よろしければご参考にして下さいね!
小規模企業共済のメリット
この制度は、国のお墨付きによる、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度になっていて、税制面や、状況に応じては融資なども受けれるなど、個人事業主にお得な制度となっています!
なんかお得そうなのはわかるけど、、
メリット1.月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額できます。
1,000円から加入ができるのはお財布にも優しいですね!
サラリーマンには、勤務先によっては退職金制度がありますが、個人事業主や中小企業の経営者は、事業を廃業しても退職金がありません。
そのため、現役の時から自分で老後資金を積み立てていく必要があります。
この小規模企業共済は、自営業者等の方にとっては退職金の積み立てのような役割を果たし、将来の老後資金を積み立てながら、支払った金額がすべて所得控除で差し引くことができるという制度です。
小規模企業共済に加入して掛金を支払えば、その支払った掛金の全額が所得控除の対象となります。
また、一定の加入要件を満たした人などが掛金を支払っていれば、事業を終了、引退するなどしたとき、まとまったお金が払い戻されます。
所得が高ければ高いほど節税効果が期待できるため、たとえば課税される所得金額が200万円である場合、掛金月額が7万円であれば、129,400円も節税することができます。
課税される所得金額 | 加入前の税額 | 加入後の節税額 | ||||
所得税 | 住民税 | 掛金月額 1万 | 掛金月額 3万 | 掛金月額 5万 | 掛金月額 7万 | |
200万 | 104,600 | 205,000 | 20,700 | 56,900 | 93,200 | 129,400 |
400万 | 380,300 | 405,000 | 36,500 | 109,500 | 182,500 | 241,300 |
600万 | 788,700 | 605,000 | 36,500 | 109,500 | 182,500 | 255,600 |
800万 | 1229,200 | 805,000 | 401,000 | 120,500 | 200,900 | 281,200 |
1,000万 | 1,801,000 | 1,005,000 | 524,000 | 157,300 | 262,200 | 367,000 |
参照:国税庁「独立行政法人 中小企業基盤整備機構「掛金の全額所得控除による節税額一覧表」
なるべく多めに積立方がお得なんですね。
そうなんだ、ただ続けることが大切だから最初は少額でも問題ないよ!
メリット2.受取りは一括・分割の選択可能
共済金は、退職・廃業時に受け取ることができます。
満期や満額というしくみはありません。共済金の受取は「一括」「分割」「一括と分割の併用」から選択することができます。
一括受取を選択すると「退職所得」扱いになり、分割受取を選択すると「雑所得」扱いになります。「事業所得」などに比べて税負担が大幅に軽減されます。
なお、6カ月以上積み立てると、廃業した場合に共済金を受け取ることができ、退職金代わりにすることができます。
また、12カ月以上積み立てると、解約手当金を受け取ることもできます。
共済金を受け取るためには、個人事業の廃業届、印鑑登録証明書(発行後3カ月以内の原本)、マイナンバー確認書類などのほか、共済金等請求書、退職所得申告書、預金口座振替解約申出書兼委託団体払解約申出書などの書類が必要です。
参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「廃業して、共済金を受け取る場合」
退職所得と雑所得はどちらがお得なの?
一般j的には、退職所得方がお得なんだ!
しかし、具体的な状況や個人の所得により異なるから、その都度相談してね!
メリット.3低金利の貸付制度を利用できる
事業を行っていれば、経営者にとっては資金繰りは必須になり、人間で例えると血液にあたります。
血液は常に循環をしないといけません。
その手段のひとつとして、知っておきたいのが小規模企業共済の貸付制度です。
小規模企業共済制度に加入していると、今までの掛金の一定割合まで、貸付を受けることができます。
さまざまな種類の貸付があり、審査不要で即日貸付も可能です。
・一般貸付(事業資金) ・緊急経営安定貸付 ・傷病災害時貸付(病気の時など) ・福祉対応貸付 ・創業転業時・新規事業展開等貸付 ・事業承継貸付 ・廃業準備貸付 |
一般貸付制度は、もしもの時に迅速に事業資金を借り入れできる便利な制度です。
一般貸付制度の借り入れの限度額
掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)で借り入れをすることができます。
現在借り入れをしていない場合には、中小企業基盤整備機構から送られてくる最新の「貸付限度額のお知らせ」を確認してみてください!
すでに借入れをしている場合や、お知らせが手元にないという場合には共済手帳などで共済契約書番号を確認して、コールセンターまで本人が問い合わせをします、比較的お電話は繋がりやすいです。
貸付限度額は、算定基準日における掛金残高と掛金の納付月数に応じて、年に2回(4月・10月)設定されます。
一般貸付制度の借入期間
借入金額 | 借入期間 |
100万円以下 | 6カ月・12カ月 |
100万円~300万円 | 6カ月・12カ月・24カ月 |
300万円~500万円 | 6カ月・12カ月・24カ月・36カ月 |
500万円以上 | 6カ月・12カ月・24カ月・36カ月・60カ月 |
一般貸付制度の借入金の返済方法
借入期間 | 返済方法 |
借入期間が6カ月以上または12カ月の場合 | 期限一括償還 |
借入期間が24カ月・30カ月・60カ月の場合 | 6カ月ごとに元金均等割賦償還 |
一般貸付制度の必要書類
一般貸付制度を利用する場合には、以下の書類が必要です。
①印鑑登録証明書(発行後3カ月以内の原本) ②本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)提示書類 ③貸付金額に応じた収入印紙 ④共済契約者本人の実印 ⑤貸付金借入申込書 ⑥「貸付限度額のお知らせ」「借入資格取得通知書」「ご返済期日到来の案内」または「共済手帳」など |
参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「事業資金の借入れ」
返済できない場合はどうしたらいいの、、
もし期日までに資金繰りが難しければ、借り換えもできるんだ!
例えば、現在の借入金100万円を新しい借入金100万円で一括返済することで、新しく返済期間12ヶ月が設定されたりするんだ!
*しかし、借入金の返済が滞ると、年利で14.6%の延滞利子が発生したりもするから安易に考えるのは危険だよ!
メリット.4 決算対策にもなる
小規模企業共済の掛金の支払い方法は、通常月払いですが、年払いを選択することもできます。
そこで、12月の段階で節税対策をしたいという場合には、年払いによる共済加入をすることができます。
つまり「期末に大きな利益が出てしまい、納税額が増えそうだ」という時に、決算対策として12月中に1年分の掛金を年払いして加入することもできるわけです。
確定申告の際は、その全額を課税対象所得から控除できし、高い節税効果が期待できるね。
そうなんだ、いずれも経営者の経営上の資金繰りによってくるね!
小規模企業共済のデメリット
節税効果の高く、便利な貸付制度のある小規模企業共済ですが、いくつかの注意点もあります。
加入を検討する際には、このような注意点を理解しておきましょう。
デメリット1.12カ月未満の掛捨てリスク
共済金は、個人事業主を廃業したり法人が解散したり解約したりした時に受け取ることができますが、
小規模企業共済は加入後6か月以上経過した人に対して共済金が支払われます。
*6ヶ月掛けないと共済金はもらえません。
小規模企業共済を解約する場合、解約手当金は掛金月数が12ヶ月以上の場合に受け取れますが、
つまり12ヶ月未満は解約返戻金はゼロ(掛捨て)です。
ただし、災害など契約者の責任ではない理由(やむを得ない理由)により生じた掛金の滞納については、共済契約を継続することができます。
最低でも6か月は積立なんですね、、
そうなんだ、1,000円でもいいから加入したら毎月積み立てよう!
(2)加入期間20年未満は元本割れ
掛金納付月数が、240カ月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回ってしまい、元本割れしてしまいます。
また、加入期間が240カ月以上でも、途中で掛金を増額したり減額したりした場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240カ月を下回ったときは、任意解約した場合に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回ってしまうこともあります。
20年以上加入しなければ、かえって損してしまうこともあるので、目先の節税効果にとらわれずに、加入する際には十分な検討が必要です。
参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「共済金(解約手当金)について」
元本割れって、、
途中で積立をやめてしまったりすると、返って損をしてしまうんだ、やっぱり無理の無いように長期で計画する必要があるね!
(3)受取時には課税される
積立時の掛金は全額が控除額にできるので節税することができますが、受取時には退職所得または雑所得として課税されることになります。
つまり小規模企業共済は、「課税を先送りにする制度」だということもできます。
ただし、退職所得はほかの所得と分離されて計算され、税制上重税とならないよう特別の軽減を図ることになっています。
共済金を受け取るにしても長期的な計画が必要なんだね、、
そうだね、一番は、事業主として事業を安定させることが重要になってくるね!
実際に加入した際の加入シミュレーションを用意してあるから試してみてね!
いかがでしたでしょうか。
本日は、小規模企業共済に加入した際のメリット、デメリットについて解説いたしました。
個人的にはおすすめいたしますが、加入の際には状況や計画に沿って検討することが大切そうですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
ファランクス行政書士法務事務所